ヒアリをめぐるニュースを見ていて思うこと

このところ、特定外来種ヒアリの日本上陸のニュースが相次ぎました。

発端は今年5月26日に兵庫県尼崎市の臨海部に置かれたコンテナから数百匹からなるコロニーが発見されたことでした。

発見されたヒアリはすべて殺され、この時点での外部への逃亡の心配はないとされました。

しかし、アリの見つかったのが中国広東省から送られてきた貨物コンテナであることから分かるように、他のコンテナの中に紛れて日本に来たヒアリの存在も十分考えられます。

実際、同じコンテナ由来の個体と思われるものを含み、その後も相次いで、兵庫、大阪、愛知、東京などでヒアリが発見されています。

いまのところ水際で発見・殺虫に成功しているようですが、兵庫県尼崎のヒアリのニュースが大きく取り上げられた直後に複数個所で発見されたということは、未発見のまま日本への侵入を果たしたヒアリがまだいると考えてよいのでしょう。

それもあってか、ヒアリ対策のための殺虫剤の売り上げが伸びたり、株価の上昇した製薬会社があったりで、具体的なヒアリ被害の顕在化の前に、ヒアリは思わぬ経済的影響を与えているようです。

ところで、ヒアリは南米原産の体長2~6mmほどの小さなアリです。

しかしヒアリは、巣が大きくなると一巣あたりの個体数が数万から20~30万匹にもなるうえ、強い攻撃性と毒性を持つアリで、侵入地に定着したばあい、農業被害や刺傷事故の悪影響が懸念されている昆虫です。

実際、ヒアリは世界侵略的外来種ワースト100に選定されているアリです。
以前から侵入・定着している米国では、毎年莫大な農業被害と多数の刺傷被害者が出ていて、アナフィラキシーショックなどによる死者の数も年あたり100名近くになるとのこと。

ただ、本種は、南米つまり熱帯起源のアリなので、今までに侵入・定着し増殖した地域を世界的にみると、アメリカ合衆国、西インド諸島、オーストラリア、ニュージーランド(既に根絶)、熱帯アジア、中国、台湾などの、熱帯から亜熱帯あるいは暖温帯の地域が多いということがあります。

それゆえ日本では、一年中気温の高めの四国や九州での定着の可能性はあるものの、気温の低い北海道はもちろん、少なくとも寒い冬のある本州での定着が成功するかどうかは未知数です。

このヒアリ騒動の間、ニュースではほとんど取り上げられていなかったようですが、実は、日本へのヒアリの侵入・定着が懸念されるのは、もっとも甚大な被害を受けそうな沖縄です。

沖縄県では、今回の騒動以前からヒアリ対策に乗り出していたとのことですが(7/13付け朝日新聞 ザ・コラムによる)、万全かつ効果的な対策を採っていると言えるほどのものでもないようです。

沖縄県、亜熱帯圏に入るので気候的な問題はないでしょうし、全体的には米軍基地、農業地帯や森林地域となっており、ヒアリの生息に適した土地も多そうです。

そのうえ、沖縄県は、ヒアリの分布する台湾、中国本土、香港などの近くに位置します。

それらの地域からの海上経由の物資の流入に伴う侵入や、さらには、防疫チェックのできないアメリカ軍による空路による物資搬入に伴う侵入も、可能性としては決して低くはないと考えられます。

沖縄にヒアリが定着すると、農産物への直接的被害や人の刺傷事故のみならず、一部農産物の本土への出荷規制という事態も生じかねません。

国も県も、ヒアリ侵入・定着阻止のため、ここは何とか力を入れて踏ん張って欲しいものです。